網膜色素変性症
網膜色素変性症とは
網膜というカメラではフィルムに相当する膜に異常を起こす、遺伝性で進行性の病気です。
4000人~8000人に1人の発症率と言われています。
発症の時期や進行は様々で、幼少期に発症して40代に視力を失ってしまう重篤な例や、発症が遅く高齢になっても視力を維持している例など様々です。
網膜色素変性症の症状
暗いところで物が見えにくい夜盲症状、視野が次第に狭くなる視野狭窄、視力低下などが特徴的です。早期から白内障を合併します。
網膜色素変性症の原因
網膜色素変性症の原因は遺伝子の異常であることが分かっています。
遺伝の形式によって病気の現れ方や、進行の程度は様々です。
常染色体優性遺伝であれば、両親のどちらかが患者で50%の確率で遺伝します。男女の差はありません。
常染色体劣性遺伝では両親は保因者ですが発症していません。保因者同士の子に25%の確率で発症します。他にも色々な形式があります。また、突然発症する孤発型もあります。
網膜色素変性症の検査
眼底検査
瞳を開いて網膜の隅々まで診察すると、黒っぽい斑点の骨小体色素沈着がみられます。
視野検査
見える範囲を調べる検査です。ドーナツ状に視野が欠ける輪状暗点や周囲の視野が狭くなる求心性視野狭窄がみられます。
暗順応検査
夜盲の度合いを検査します。
網膜電図(ERG)
網膜に光を当てて電位反応をみますが、初期の頃から電位が低下します。
網膜色素変性症の治療
残念ながら今のところ根本的な治療が見つかっていません。
現在のところは病気を遅らせることが目的になります。
ビタミンAやビタミンE剤、血管拡張剤などが処方されていますが確実な効果が確認されていません。
今のところ視細胞を保護するために遮光眼鏡の使用が有効とされています。
また、日常生活において必要に応じてルーペや拡大読書器などの補助具が有効な場合があります。
※医療費助成制度
網膜色素変性症は難病指定疾患に指定されており、医療費の助成制度が受けられます。最寄りの保健所にて申請が必要です。
また、視力や視野の障害が進行してしまった場合には視覚障害認定を受けて公的な支援を受けることも出来ます。
最寄りの市役所(福祉課)での申請が必要です。